物語
12/ 兄弟、太陽に集う
11/ 太陽、曇天に再炎
10/ 白き闇、裏に反る
過酷な運命を背負いながらも、太陽の下、再会を果たした曇天三兄弟。復活した大蛇とそのもとに集結した白子ら風魔の忍たち、そして獄門処を脱走した囚人たちといった強大な敵を前に、天火、空丸、宙太郎、蒼世率いる犲、牡丹、比良裏、錦……そのほか数多くの者たちが、それぞれの想いを抱いて立ち上がる。明治時代を舞台に繰り広げられた大蛇にまつわる物語の結末は……!?
政府の秘密施設に匿われていた天火の前に、牡丹が姿を表す。天火の存命を心から喜んだ牡丹は、宙太郎が行方不明であること、空丸が真の大蛇の器であり風魔にその身柄を奪われてしまったこと、そして白子が裏切り風魔の頭領として動いていることを告げる。曇家と大津の町に訪れた最大の危機を知った天火は弟たちのもとへ向かうことを決意。一方、犲も大蛇を生け捕りにするべく動き出し……。
大蛇の器を守る方法が存在することを知った白子は態度を豹変させた。深手を負わせた牡丹の前で、これまで曇に仕えて来た理由や、天火が大蛇の器ではなかったこと、そして真の大蛇の器が誰なのかという真実を明かしていく。一方、犲本部では蒼世の前に曇の宝刀を持った空丸が現れ、鬼気迫る表情で「俺を殺して下さい」と告げた。空丸の身に起きている異変を知った蒼世がとった行動は……。
9/ 後継者、濁り空に立つ
8/ 少年、雨天に慟哭す
7/ 泡沫に笑う
宙太郎は獄門処に勾留されていたはずの重犯罪者・嘉神と出会い、嘉神から大蛇やその器に関する真実、そして天火が国に抹殺されたのだと伝えられる。また蒼世は大蛇の器とされた天火の処刑後も一向に大津の空が晴れないことから、天火が大蛇の器ではなかったのではという考えに至る。蒼世から調査を命じられた鷹峯は、山中でとある建物を発見し様子を見ていると、その建物から滋賀県警の人間が出てきて……。
天火の処刑から一週間。大蛇の器とされる者が処刑されたのにもかかわらず、大津の空に太陽の光が差し込むことはなく、未だに曇ったままであった。天火を失った空丸と宙太郎は絶望の中、時間が止まったままの日々を過ごす。宙太郎は、天火はすぐに帰って来るはずだと言い天火の帰りを待ち続け、空丸は蒼世との稽古に身が入らず「今のお前に曇の仕事など出来る訳がない」と突き放されてしまう。
600年前、近江の地を守護する佐々木清綱、曇家当主の曇景光、安倍家の式神である牡丹は、ともに大蛇の器となる人間を探していた。牡丹はある日、黒装束の者たちに追われていたところを陰陽師の名家・安倍家の人間——安倍比良裏に助けられる。黒装束の者たちを退けた比良裏は牡丹の前に跪き「俺の嫁になってくれ」と突然プロポーズした。……600年前の琵琶湖を舞台にした、泡沫の物語。
6/ 太陽、曇天に散る
5/ 天下、不穏に揺れる
4/ 風魔、獄門に忍ぶ
夕食の買い物から帰った空丸と宙太郎は、天火が獄門処を爆破した罪で警察に連行されたことを知る。しかしそれは表向きのでっちあげられた理由であり、実のところは天火が大蛇——三百年に一度人の器に宿り大きな災いをもたらす存在——の器であるためだった。大蛇と曇家の関係や、天火がそれを一人で背負っていたことを知った空丸と宙太郎は、連れて行かれた天火を追って走り出す。
白子や武田の助けもあり、なんとか獄門処から抜け出すことができた空丸は、蒼世が欲していた情報——獄門処に入る科人(とがびと)が持ってくるという『ある物』に関する情報——を持って再び犲本部を訪れる。検証の結果、その情報が正しかったことが分かり、空丸は晴れて蒼世から稽古をつけてもらえることになる。一方で体調を崩して臥せていた天火の身に、ある異変が起きていて……。
罪人の変装をして獄門処へ潜入した空丸は、そこで怪しげな仮面の男と出会う。男の全貌を見た途端、空丸は忘れていた過去の記憶を取り戻し、その男が自分の両親を殺した人物だと気付く。男へ襲い掛かる空丸だったが、逆に首を絞められ、気を失ってしまう。一方で空丸を救出しようと琵琶湖の湖畔までやってきた金城白子は、そこで犲の一員である武田と出会い、二人で獄門処へ乗り込むことに……。
3/ 次男、監獄に潜る
2/ 殺人鬼、曇天に嘲う
1/ 三兄弟、曇天に立つ
天火と牡丹が大蛇について話しているところを目撃した空丸は、どういうことなのかと天火に詰め寄るが、天火は空丸に対し真正面から取り合おうとしない。天火の態度を見た空丸は自分が頼りないからだと思い、蒼世に剣を教えてほしいと犲本部を訪れるも、「お前に剣を教えたとして私に何を提供できる?」と申し出を拒絶されてしまう。そんな空丸に犲の一員・屍千狼は危険な取引を持ちかける。
囚人脱走事件の翌日、太田診療所に赴いた天火。その時、指名手配中の殺人鬼・嘉神直人が曇神社に向かったとの報が入る。弟たちの危険を察し、診療所を飛び出す天火の前に陸軍兵士が立ちふさがる。曇神社に現れた嘉神は獄門処への橋渡しをしてほしいと宙太郎に近づいていた。駆け付けた空丸は天火の名を名乗り、嘉神に対峙する。その一方、事件の情報を入手した安倍蒼世率いる右大臣直属部隊・犲が動き出そうとしていた。
琵琶湖の中心に設けられた重犯罪者専用の日本最大・脱出不可能の監獄、獄門処。この地は三百年に一度訪れる大きな災いの前兆だという曇天に覆われていた。その監獄への橋渡し人を請け負うのが、曇神社の三兄弟――長男の天火・次男の空丸・三男の宙太郎。 ある日、獄門処に護送中だった犯罪者が脱走する事件が発生する。警官(北村・土屋)から依頼を請けた天火は脱走犯の捕縛に向かう。空丸と宙太郎は天火に続くが……。